日々の思考の公開処刑

集めたりしないで

その色に飽きただけ

 買い物から帰って買ったものを冷蔵庫などに納めて米をとぎ、新しい煙草を一箱取り出してそこから更に一本を取り出し火をつけ、ふはーと煙を吐くと煙草のフィルターが赤い。今日はルージュの類は塗ってないのになにゆえ、と思いよくよく観察してみたら中指の第一関節から微量に出血しているのであった。いつどこでどのように切った。それは不明である。痛みも微弱、ほとんど気づかぬほど。出血、赤、痛み、煙草。
 思い出す。日常的に身体を切り付け毎日血を見ていたこと。
 断続的に十五年ほど続いた行為は昔の私の仕業であって今私はもうカッターや包帯の世話になったりはしない。しかしこれは私が強くなっただとか成長しただとかいう理由ではなく、私は、ただもう飽きただけなんだと思いながら、私は、色々な言葉や色々な人々、私は、その色々な傷痕を脳裏に映しながら煙草を吸う。