日々の思考の公開処刑

集めたりしないで

降雪、積雪、極寒だ

 朝起きて、ん、今日は結構冷えるな、と肌で察知したがまだ日が出ていないし我が家はオール擦りガラス、外界がどんな惨状になっているかは知らずに彼を起こし、毎朝七時に届くお天気メールを見ると「雪のち雨」。おやと思って通りに面した窓を恐る恐る開けてみれば白白白、空も通りも窓の縁も白く、上から下へ更に白い粉のようなものがざんさかと。お天気メールによると、最高気温、2℃。冷凍都市トーキョー、極まってんなぁ。

 未だ体調が本調子でない彼を送り出し、流石に寒いのでエアコンの下、即ちベッドに身投げし、カーボンヒーターとどちらを使うべきか、結構真剣に考えた。それから今日は歯医者の日だったと思い出したが何しろこの雪、粉雪ではなくぼたん雪になっていたがとにかく雪、これは徒歩は厳しいだろう、寒いし、ダルいし、なんてやっていたら彼女から連絡があって遂に人工関節の手術を決めたと聞く。まだまだ先だが、手術日は顔を見に帰った方がよさそうだ。彼女の四方山話は尽きず、といっても話したのは三十分弱であったが、私は歯医者のことなどすっかり失念、というのは嘘で、風邪引いたことにして予約を取り直そう、などと思いながらやはりカーボンヒーターを使用するのは勇気が要って使用せず、だがしかし、歯医者の時間になるとどういう訳かコート・耳当て・マフラー・手袋を装着して部屋から出た。絶対ブッチすると思ったわー、前回もこんな感じだったわー、と階段を降り、通りに出る。

 降雪、しかも結構吹雪いている、積もってもいる、積雪である、その中で歩くのはなかなか困難で、結局歯医者から帰るまでに三回滑って転倒直前までいった、三回。傘はほとんど機能せず、吹雪なんて2002年のマンハッタン以来か? と自問したら、いや、確かに去年ももっと降ってたけど、うん、ここまで吹雪いている中を実際に歩くのは確かに久しぶりである、という帰結。
 2002年のクリスマス、ユニオンスクエアのCD屋に行こうとしたら、サブウェイの駅から出た瞬間ブリザードに襲われて、店までちょっとだけ歩いたけど凍ったね、顔が。そんでかの国ではクリスマスは家族と粛々と過ごす日であるから、CD屋はやってたけど普段のごった返しぶりが冗談かのようにがらんと閑散としていて、エスカレーターが動いてなかったのを何故か覚えている。自分にクリスマスプレゼントをね、そう思って店員にルー・リードのアルバムどれがあるか聞いて。対応してくれたのはエリオットという二十歳くらいの、若い頃のトム・ヨークに似たひょろっちい青年で、しかしヴェルヴェッツ関連の話になったら弁舌がね、かなりヒートアップして、聞き取れないレベルで。とにかくヴェルヴェッツとかあの辺の音源ならここよりダウンタウンの**レコードが充実してるよ! って、キミ店員だろう。そんなエリオットが推してきたのがアルバム「ベルリン」であるのだが、彼の熱意に負けて購入してクイーンズのアパートに帰ってだね、ラジカセに入れて再生したんだけどルーの声が聞こえる前に寝落ちしたような。そんなクリスマス。

 今流石に寒くなってエアコンを切ってカーボンヒーターを稼働させてみた。末端が温もらないのがきついな、右半身ばっか熱くなるし。風呂上がりは重宝しているのだが。外の雪は雨になっただろうか、と首を傾げるか再度、我が家はオール擦りガラス、分からんし窓を開けてまで確認するほどの疑義でもない。歯医者に行っただけなのにどうしてこんなに疲れているのか。昨日の辛さが響いているんだろうか、と思って確認したら今日まだ頓服を飲んでいない、わお。昨日は酷かった。不調で泣いて、吐いて、過呼吸起こしかけて、久方ぶりの希死念慮、平たく言う「死にたい病」と格闘、いやあ、数時間で落ち着いたからよかったけどきつかったな、ああいう時はやはりまともな精神科医と話したいと切に思う。比べて今日は落ち着いている。気付いたら午後になっている。太陽、おまえがおらんから時間の感覚が曖昧だ。太陽、太陽、太陽。