日々の思考の公開処刑

集めたりしないで

揺れる、揺れる、日差し、まだね

 彼と駅の反対側にある古い喫茶に居る。カフェ読書と洒落込んだのだが私が持ってきていた古川日出男「ハル、ハル、ハル」は外で読むのに向かない気がして、彼は彼で本を読んでいるので、私は一応持ってきておいたパソ子に向かっているという。窓際の席は日差しが強くて右腕と右耳だけが熱い。店員に、眩しかったらブラインドを下げるように言われたのだけど少し、億劫。

 今日はこれから一度自宅に帰って洗濯物を取り込んだ後、また外出して映画を見に行く予定。先週末は私の都合で行けなかったので今日がリベンジ、まあ今日も体調は良くないが。彼は疲れているのだろう、昼頃まで起きなかったんだが、私が一緒に見ようとした映画「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」は途中で止まってしまって、まあレンタルじゃないし私は何度も見てるから別にいいっちゃいいんだけど最近彼の好きなマーベル映画ばかり見ているからこちらとしては、ね、自分の趣味も押しつけたい訳です。

 この喫茶は初めて来たけどなかなか広いし窓はあるし混雑もしていないので良い感じ、アイスキャラメルオレを飲んでいる。が、まあ足繁く通うにはお値段がややアレなので、どうせ私はまたドトールに行くことになるのだろう。

 私は違うのだけど、花粉症の人はそろそろマスクが必要になる季節らしい。春は来そうでまだ来ないが、花粉は順調に分散しているようで、彼もマスクを買いたいと言っている。彼女こと私の母は四十を過ぎてから体質が変わって花粉症になったから、私だって油断出来ない。ついでに彼女は犬アレルギーにもなった。昔犬を飼っていたのにね。

 空気はなかなか暖かい。日が更に傾いて、右の顔面まで熱くなってきて、恐らく眼鏡のフレームも赤黒く光っているのだろう。喫茶のある建物は駅に密接しているので、電車が来る度にかなり揺れる。

 彼は映画館の近くに本屋があることを確認し、また本を買いたいと言うのだった。彼はまごうことなき読書家であるが、それ以上にコレクターでもある。本を所有したいという欲が、読みたいという欲より強いらしい。「これから読む本」専用の本棚もある。私はパソ子というでかい買い物をしたのでしばらく買い物は身の回りのものだけでいいのだけど、彼はどうやら物欲というやつが私より格段に強いようで、本やブルーレイやゲーム機など欲しいものは常時ある模様。私は万年金欠キャラでここ十年以上を過ごしてきたので、まあニコチンは必要なのだけど、それ以外であまり高い買い物はしない、しても罪悪感に襲われるばかりで彼が言うような発散行為にはならない。昨日、眉を描くペンシルを買いにドラッグストアに行ったのだけど、ちょっと奮発してしまった。最近は太く濃い眉毛が流行りであるようで、私は濃くてもいいけど太いのは嫌で、ここ十年ほど資生堂のペンシル、もろ鉛筆のタイプを使っていたんだけど流石に古くなってきていたので買い換えを画策、ドラッグストアの店員さんに聞けば昨今はペンシルとチップがセットになったものが主流であるようで、色々見たのだけど買ったのはKATEのもの、30%オフでギリ三桁とかそんな感じで奮発奮発、何しろ資生堂の鉛筆タイプは200円もしない。帰宅して早速眉を描いてはみたのだけど、彼は全く変化に気付かない、というか彼は私の煙草のフィルターが赤いか否かで化粧をしているか否かを見るレベルなので期待はしていなかったよ。

 明日は天気が悪いらしいので今日洗濯した訳だが、そろそろ取り込みに帰らないと心配で。